課外活動でチームワークや
自立心、感謝の心を学ぶ
高校時代の思い出のひとつが「AWE(The Athenian Wildness Experience)」と呼ばれる、約1か月に及ぶDeath Valley National ParkまたはSierra Nevada Mountainで行われるキャンプ生活です。チームワークや自立心、忍耐力を身につけることを目的に、必ず参加しないと卒業ができない大事なイベントです(身体的に参加が難しい場合には、コミュニティサービスをします)。
同じくらいの年齢の生徒が10人くらいの小さなグループに分かれ、約1ヶ月間、協力しながら大自然の中で生活を共にし、植物保護や水の調査などのリサーチをしながら、ゴールに向かって進みます。話だけを聞くと、「楽しそう!」と思う人もいるかもしれません。もちろん楽しい思い出ですが、初めて体験することばかりでとても過酷な経験でもありました。
まず、荷物は決められたバックパックしか持っていくことができず、中には飲料水、食料、トイレットペーパー等、必要なものだけを詰め込みます。中でもトイレットペーパーはとても大事で、みなどのように大量に持っていくか試行錯誤していました。いざ、準備してバックパックを背負ってみると・・・バックパックが重すぎて、小柄な私は後ろに倒れてしまいました!参加する前までは、どうしたら行けなくなるのかといろいろ考えてしまったほどです。
(参考 The Athenian School HP:https://www.athenian.org/explore/signature-programs/awe)
1か月に及ぶ
Death Valleyのキャンプ生活
また、AWEは友達同士一緒に参加できない決まりがあります。それは、チームワーク力を養う為で、メンバーは国籍もばらばらで、これまでに話したこともない生徒がチームとして1ヶ月一緒に過ごします。先生方がメンバーを決めますが、先生方は生徒たちの交友関係まで把握しており、普段から私たちのことをよく見ていることを改めて感じました。The Athenian Schoolは、約6割がアメリカでも中流以上のご家庭で、裕福な環境で育った生徒も多くいます。それだけを聞くと、お金持ちでわがままな生徒が多いのではないか・・・とイメージしてしまうかもしれませんが、The Athenian Schoolに在学する生徒たちは、社会貢献やGive&Takeの精神、自分自身の生き方といった信念を持っており、マナーがあり、モチベーションも高い生徒ばかりです。AWE中に私たちは、これまでに自分の育った家庭環境や親のこと、勉強のこと、将来のことなどたくさんのことをお互いに話しました。裕福な家庭ならではの、自宅にプライベートジェットがあるというようなびっくりするような、今まで経験したことのないような話はもちろん、同年代ならではの悩みも共有しました。1ヶ月はあっという間の時間ですが、これまで会話もしたことのなかったメンバーと交友を深め、初めての体験にみんなで切磋琢磨しながら、AWEの目的である、チームワーク力を築いていくことができました。
大自然の中1ヶ月もキャンプ生活をしていると、真っ黒に日焼けし、すっかりたくましくなります。水は飲むためだけのものですので、川で顔を洗ったりし、シャワーを浴びることもほとんどできませんでした。また、参加期間中に1回だけ家族や友人からの郵送物を受け取ることができます。食事も自分たちで運び、限られたものを自分たちで調理する生活でしたので、お菓子やラーメンをリクエストし、受け取った時とても嬉しかったのを覚えています。
また、参加中、こんな面白いエピソードもありました。炎天下の中歩き続け、くたくたで休憩を取ろうとしたところ、同じグループ内の韓国人の男の子がなんとサボテンの上に座ってしまいました!「痛い、痛い!」と騒ぐ男の子のお尻からみんなで棘を抜き、冷やすために湿布を張ってあげ、みんなで大笑いしました。
AWEの最後には、3日間の自分一人で生活するソロの期間があります。これまでグループで一緒に行動していたため、急に一人になったこと、また国立公園の中、安全は確保されていても、夜の静けさの中でオオカミの遠吠えも聞こえ、とても不安な気持ちになりました。3日間は自分一人で何でもしなければならず、孤独な環境の中、一人静かに瞑想し、これまでの学校生活のこと、親のこと、友達のこと、将来のことなど考えながら過ごし、我慢することや助け合うことの大切さ、人と過ごすことの楽しさを改めて実感しました。
次回はThe Athenian Schoolでのコミュニティ活動についてお話いたします。